バランス型オーディオ信号について
オーディオケーブルには、使用目的に応じてバランス型とアンバランス型の
2
種類を使用できま
す。ケーブルが長い場合で、特に比較的低いマイクレベルを使用する場合には、
3
本のワイヤを
使ったバランス型オーディオ回路によってノイズが減少します。バランス型オーディオケーブル
は位相のキャンセルという原理を使って、元のオーディオ信号を維持しながらノイズを除去し
ます。
第
12
章
業務用のビデオおよびオーディオ装置を接続する
197
IIIIIIIIIIII
バランス型オーディオケーブルは
2
つのワイヤに同じオーディオ信号を送りますが、片方の信号
の位相を
180
度反転させます。
ノイズがケーブルに入ると、ノイズは通常の信号と反転した信号の両方に等しく干渉します。
信号がケーブルの端まで伝わると、反転した信号の位相が逆になり、
2
つの信号が一緒になりま
す。元の信号と反転した信号は同じ位相に戻りますが、各ワイヤのノイズ信号は位相が不一致と
なります。
元の信号
反転した信号(位相が逆)
ワイヤ上のノイズ
(両方の信号に影響)
反転した信号
(再度反転)
198
Part III
編集システムを設定する
こうして、両方のオーディオ信号は同じ位相になりますが、ノイズは反転されてキャンセルされ
ます。同時に、
2
本のワイヤで送られた後に結合されたので、信号は元より少し強くなります。
この仕組みによって、長いケーブルでは当然起こる信号強度の減衰がカバーされます。
ケーブルが長くなることで生じるノイズのほとんどは、この過程で除去されます。
参考:アンバランス型ケーブルではノイズの除去ができないので、配線するケーブルが長い場合
や、マイク信号、およびそのほか業務用途には不向きです。