置き換え編集を実行する
置き換え編集は、特殊な形式の上書き編集です。置き換え編集では、「ビューア」での現在の再
生ヘッド位置にあるフレームを、シーケンスで「キャンバス」/「タイムライン」再生ヘッドの
位置に配置します。置き換え編集を使用すると、以下を行うことができます:
Â
「ビューア」の現在のフレームが、シーケンスの現在の再生ヘッド位置に配置されるようにク
リップをシーケンスに組み込む
Â
編集済みシーケンス内の既存のショット全体をすばやく置き換える
Â
ビデオクリップ項目またはオーディオクリップ項目と、隣接するトラック内のリンクしていな
いクリップ項目とを再同期させる
たとえば、
2
つのクリップがあり、それらが異なるカメラアングルで同じアクションを表示して
いる場合、「タイムライン」で現在使用されているショットをもう一方のアングルと置き換える
とします。
「ビューア」および「タイムライン」の再生ヘッドを、各ショットでアクションが一
致するフレーム上に配置してから、シーケンスクリップを「ビューア」からのクリップと置き換
えることが可能です。
置き換え編集には、いくつかの特殊な規則があります:
Â
置き換え編集では、
「タイムライン」および「ビューア」での現在の再生ヘッド位置に基づい
て、
「タイムライン」にソースクリップが配置されます。
Â
置き換え編集では、
「ビューア」内で指定されているクリップのイン点とアウト点は使用され
ません。これらの編集点が設定されていても、無視されます。
Â
置き換え編集では、シーケンス内の既存クリップ項目のみが置き換えられます。たとえば、
「ブ
ラウザ」のビデオとオーディオ項目を含むクリップを使って、ビデオクリップ項目のみを含む
シーケンスのセグメントで置き換え編集を実行すると、シーケンスのビデオクリップ項目のみ
が置き換えられ、ほかのクリップ項目が追加されることはありません。編集時にほかのクリッ
プ項目を追加するには、上書き編集を使います。
参考:
「タイムライン」内でイン点またはアウト点を設定した場合は、ソースクリップ内の再
生ヘッドの左右に十分なメディアがあれば、複数のクリップにまたがっていてもその編集点が
使用されます。
複数のクリップにまたがっている
イン点とアウト点
第
10
章
3
ポイント編集
157
IIIIIIII
Â
置き換え編集では、ソースクリップがシーケンスに入れられますが、このとき、
「ビューア」内
の再生ヘッドの位置にあるフレームが、「キャンバス」/「タイムライン」の再生ヘッドの位
置に配置されます。このため、
「ビューア」内の再生ヘッドの左右にソースクリップのメディ
アが十分にあり、
「タイムライン」内のスペースを埋められることが重要です。そうでないと、
「内容が不十分なため編集できません。
」というメッセージが表示されます。
Â
「ブラウザ」からクリップを直接ドラッグして置き換え編集を行う場合、
「
Final
Cut
Pro
」は、
「ビューア」で前回クリップを開いたときの再生ヘッドの位置を使用します。新規に読み込ん
だクリップが「ビューア」でまだ開かれていなければ、
「
Final
Cut
Pro
」は、先頭フレームが
クリップのデフォルトの開始位置であるため、そのクリップの先頭フレームを使用します。
Â
置き換え編集は、一度に
1
つのクリップに対してしか実行できません。複数のクリップを選択
する場合、最初のクリップのみが使用されます。
置き換え編集の最も基本的な用途は、編集済みシーケンス内の任意のクリップを、類似のアク
ションの周辺に同期されたソースクリップクリップにすばやく簡単に置き換えることです。
「タイムライン」のクリップ全体を、シーケンスの特定のポイントで同期されたクリップと置き
換えるには:
1
「タイムライン」で、ソースクリップとマッチさせたいフレームに再生ヘッドを移動します。
たとえば、シーケンスクリップおよびソースクリップが両方とも人がジャンプしているショット
の場合、
「キャンバス」/「タイムライン」の再生ヘッドを人の足が地面から離れる最初のフレー
ムに移動することができます。
2
置き換えたいクリップに対して、適切な「ソース」コントロールと「保存先」コントロールが
「タイムライン」に接続されていることを確認します。
3
置き換え用のソースクリップをダブルクリックして「ビューア」で開いてから、「ビューア」の
再生ヘッドを「タイムライン」の一致させたいフレームまで移動します。
「ビューア」内でクリッ
プの編集点を設定しないでください。
たとえば、シーケンスクリップおよびソースクリップが両方とも人がジャンプしているショット
の場合、
「ビューア」の再生ヘッドを人の足が地面から離れる最初のフレームに移動することが
できます。このフレームを「タイムライン」の再生ヘッドの位置に配置します。
158
Part II
ラフ編集
4
以下のいずれかの操作を行います:
Â
クリップを「ビューア」から「キャンバス」の編集オーバーレイにある「置き換え」セクショ
ンまでドラッグします。
Â
「キャンバス」の「置き換え」ボタンをクリックします。
Â
F11
キーを押します。
重要:
「ビューア」のクリップが、
「タイムライン」で置き換えたいクリップの継続時間を埋める
のに十分なメディアを、再生ヘッドの両側に含んでいることを確認します。そうでないと、
「内
容が不十分なため編集できません。」というメッセージが表示されます。
これとは別に、置き換え編集の一般的な使い方として、編集済みシーケンス内の既存のクリップ
のフレームを、隣接するクリップ内のオーディオの頭出し位置に合わせることができます。たと
えば、踊っている男性のビデオクリップがあり、別の音楽トラックにオーディオクリップがある
ものとします。置き換え編集を使用すると、同じビデオクリップの別の部分をそれと同じ位置で
シーケンスに組み込み、ダンサーの特定の足の動き表示するフレームを、音楽の特定のリズムに
そろえることができます。
「置き換え」ボタン
「キャンバス」内の
編集オーバーレイの
「置き換え」セクション
第
10
章
3
ポイント編集
159
IIIIIIII
置き換え編集を使ってビデオクリップと別のトラックにあるオーディオクリップを再同期する
には:
1
「タイムライン」で、「マーク」>「イン点とアウト点を消去」と選択して(または
Option
+
X
キーを押して)、シーケンスのすべてのイン点とアウト点を削除します。
2
「タイムライン」で、ビデオクリップに同期させたいオーディオの頭出し位置を確認し、再生ヘッ
ドをそこに配置します。
3
「タイムライン」内の「ソース」コントロールと「保存先」コントロールが、オーディオクリッ
プではなくビデオクリップを含むトラックに設定されていることを確認します。
ビデオトラックだけを
保存先トラック設定にします。
160
Part II
ラフ編集
4
「タイムライン」の再生ヘッドを移動せずに、
F
キーを押してマッチフレーム操作を行います。
シーケンス内のビデオクリップの元であるマスタークリップが「ビューア」で開きます。このと
き、
「ビューア」の再生ヘッドは、
「タイムライン」の再生ヘッドが置かれていたフレームと同じ
フレームに置かれます。マッチフレーム編集の詳細については、
430
ページの「
シーケンスク
リップとマスタークリップのフレームをマッチさせる
」を参照してください。
5
「ビューア」の再生ヘッドを、
「タイムライン」で選択したオーディオの頭出しとそろえたい新し
いフレームの位置に移動します。
6
「タイムライン」の再生ヘッドがシーケンス内のオーディオの頭出し位置に一致し、
「ビューア」
の再生ヘッドが同期させたいビデオフレームに一致している状態で、以下のいずれかの操作を実
行して編集を行います:
Â
クリップを「ビューア」から「キャンバス」の編集オーバーレイにある「置き換え」セクショ
ンまでドラッグします。
Â
「キャンバス」の「置き換え」ボタンをクリックします。
Â
F11
キーを押します。
シーケンス内のオリジナルのビデオクリップ項目が、オーディオの頭出しと同期しているクリッ
プの新しいコピーに置き換えられます。
第
10
章
3
ポイント編集
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IIIIIIII
重要:
「ビューア」のクリップが、
「タイムライン」で置き換えたいクリップの継続時間を埋める
のに十分なメディアを、再生ヘッドの両側に含んでいることを確認します。そうでないと、
「内
容が不十分なため編集できません。」というメッセージが表示されます。
シーケンスでイン点とアウト点を設定する場合、置き換え編集により一度に複数のクリップを上
書きすることができます。置き換え編集でも同様に、
「タイムライン」および「ビューア」の再
生ヘッドが、編集を一致させる点として使用されます。
シーケンスのイン点とアウト点による置き換え編集を使用するには:
1
「キャンバス」と「ビューア」で、置き換えたいシーケンスの部分にイン点とアウト点を設定し
ます。
2
ソースクリップを一致させたいフレームの位置に再生ヘッドを移動します。
このフレームは、イン点とアウト点の間のどの位置にあってもかまいません。
3
置き換えたい項目を含むトラックが、保存先トラックとして設定されていることを確認します。
4
選択範囲を置き換えるときに使用するクリップをダブルクリックして「ビューア」で開き、
「タ
イムライン」の再生ヘッドに一致させたいフレームに再生ヘッドを移動します。
5
以下のいずれかの操作を行います:
Â
クリップを「ビューア」から「キャンバス」の編集オーバーレイにある「置き換え」セクショ
ンまでドラッグします。
Â
「キャンバス」の「置き換え」ボタンをクリックします。
Â
F11
キーを押します。
イン点とアウト点によって、
置き換える範囲が定義されます。
162
Part II
ラフ編集
シーケンス内の選択範囲がソースクリップに置き換わります。
「
Final
Cut
Pro
」は、クリップの
継続時間を自動的に計算します。