「圧縮プログラム/リミッタ」フィルタ
オーディオコンプレッサは、あるスレッショルドより上の信号の部分を減衰させることにより、
ダイナミックレンジを狭めます。ほとんどのリスニング環境(映画館、家庭用ステレオ、および
テレビ)の環境ノイズに、ミックスで一番小さい音が勝っている必要があるため、コンプレッ
ションは非常に重要なツールです。問題は、最も静かな音を大きくするため、単純にオーディオ
ミックスのレベルを上げると、大きな音が大きくなりすぎて歪んでしまうことです。大きな音の
レベルを下げることで、ミックス全体の音のレベルを上げることができ、結果的に静かな部分は
より高いレベルで、大きな音の部分はそのままのレベルにすることができます。
コンプレッサは、入力されるオーディオ信号のレベルを監視し、スレッショルドの設定より信号
が強いときは指定した比率で信号を減衰します。スレッショルドより下のすべてのオーディオ信
号は影響を受けません。大きな音の部分が静かになり、静かな部分はそのままなので、全体的に
は静かな音と大きな音の差は少なくなります。
「
Final
Cut
Pro
」の「圧縮プログラム/リミッタ」で、クリップの最大音を減衰しながら最小音
をそのままにするよう、ダイナミックレンジを調整できます。
コンプレッション前
コンプレッション後
158
Part I
オーディオミキシング
「圧縮プログラム/リミッタ」フィルタには
5
つのコントロールがあります。
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スレッショルドレベル(dB)
: このパラメータは、信号がどれほど大きくなったらコンプレッ
サが適用されるかを定義します。これは、調整が必要な最も重要な設定です。
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比率: このスライダでは、適用するコンプレッションのレベルを決定します。コンプレッショ
ンをかけすぎないように注意してください。コンプレッションは少しかけても大きい効果があ
ります。コンプレッションをかけすぎると、ダイナミックレンジがフラットで変化の乏しい信
号になってしまいます。
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アタックタイム: この設定では、フィルタがオーディオレベルの変化に反応する速さを指定し
ます。通常はデフォルトでうまく機能しますが、いろいろ試すこともできます。
Â
リリースタイム: この設定では、フィルタで変更されたオーディオレベルをどの程度ゆっくり
戻すかを指定します。この場合もデフォルトでうまく機能しますが、いろいろ試すこともでき
ます。
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ボリュームを保持: コンプレッションによるクリップの音量低下を、クリップ全体のレベルを
一律に持ち上げることで補正します。