「マスター」領域
「マスター」領域のコントロールを使用すると、すべてのオーディオトラックのオーディオレベル
を同時にミュート、ダウンミックス、および調整することができます。マスター領域のコントロー
ルをオートメーション化することはできませんが、マスター領域のすべてのコントロールの現状
態をプロジェクト内の各クリップに格納することが可能です。
マスター領域の表示/非表示を切り替えるには:
m
「オーディオミキサ」タブの右上隅にある三角形の情報表示ボタンをクリックします。
マスター領域には、以下のコントロールがあります:
Â
「マスターミュート」ボタン: このボタンをクリックすると、シーケンス出力全体がミュート
されます。各トラックの「ミュート」ボタンと同様に、
「マスターミュート」ボタンは再生に
のみ影響を与え、
「ビデオにプリント」や「テープに編集」の処理時、またはオーディオファ
イルやビデオファイルへの書き出し時の出力には影響を与えません。
Â
「ダウンミックス」コントロール: このコントロールを選択すると、すべての出力チャンネル
が単一のステレオペア出力にミックスダウンされます。これは、マルチチャンネルのミックス
をステレオでモニタする必要がある場合に便利です。
「ダウンミックス」を選択していると、
シーケンスのすべてのオーディオ出力は、再生、テープへの出力、オーディオファイルまたは
ムービーファイルへの書き出しの際、常にステレオとしてミックスダウンされます。ダウン
ミックスの詳細については、
47
ページの「
複数のオーディオチャンネルを
1
つのステレオミッ
クスにダウンミックスする
」を参照してください。
「マスターミュート」ボタン
マスターフェーダ
マスターオーディオメーター
クリッピングインジケータ
「ダウンミックス」
コントロール
76
Part I
オーディオミキシング
Â
マスターフェーダ: マスターフェーダは、個々のトラックフェーダが適用された後に、出力バ
スまたはハードウェア出力のレベルを制御します。これは、シーケンス内のクリップのオー
ディオレベルオーバーレイには影響を与えません。個々のトラックフェーダとは異なり、マス
ターフェーダをオートメーション化することはできません。
マスターフェーダは、再生、テープへの出力、またはムービーファイルへの書き出し時の出力
レベルに影響します。
Â
マスターオーディオメーター: 現在のシーケンスの「オーディオ出力」タブ(
「シーケンスの設
定」ウインドウ内)で指定された各出力チャンネルに対してマスターオーディオメーターがあ
ります。たとえば、シーケンスに
6
つの出力チャンネルがあるオーディオプリセットがあれば、
「オーディオミキサ」には
6
つのマスターオーディオメーターがあります。各メーターには、
+12 dBFS
から
−
∞
dBFS
(無音)までの目盛りが付いています。マスターオーディオメーターにはオーディ
オインターフェイスに出力される最終的なレベルが表示されるので、どのレベルも
0 dBFS
を
超えないように注意する必要があります。
各マスターオーディオメーターは、特定の出力チャンネルに割り当てられた現在のシーケンス
内のすべてのトラックを処理します。たとえば、トラック
1
、トラック
3
、トラック
5
、トラッ
ク
7
、およびトラック
9
がすべてオーディオ出力チャンネル
1
に割り当てられている場合、マ
スターオーディオメーター
1
には、ミックスされるそれらのトラックの全オーディオレベルが
組み合わされた状態で表示されます。
参考:「
Final
Cut
Pro
」から出力できる最大のオーディオレベルは
0 dBFS
ですが、マスター
オーディオメーターのスケールの上部にさらに+
12 dB
分表示されます。この「クリッピング
領域」では、クリッピングが発生している部分がどのくらい
0 dBFS
を超えているかを確認で
きるので、ミキシングのオーディオレベルをどの程度下げると歪みが回避できるかが分かり
ます。
∏
ヒ
ヒ
ヒ
ヒン
ン
ン
ント
ト
ト
ト:
:
:
:「ビューア」の個々のクリップに対してもトラックのオーディオメーターと「マス
ター」オーディオメーターが使用できます。各クリップは、個々のトラックレベルとマスター
レベルの両方を保持します。クリップのマスターレベルは、「オーディオミキサ」でのみ調節で
きます。「ビューア」では調節できません。
Â
クリッピングインジケータ: 各メーターの上部に、出力チャンネルが
0 dBFS
に達したときに
点灯するクリッピングインジケータがあります。クリッピングインジケータが点灯すると、再
生を中止して再開するまで点灯したままになります。オーディオがクリッピングすることで顕
著なデジタルオーディオの歪みが発生してしまうのを防ぐため、再生を中止した後でもこのイ
ンジケータによってどのオーディオ出力がクリッピングするかが分かるようになっています。
これにより、レベルを下げる必要があるトラックのクリップを特定することができます。
参考:オーディオ信号が再生時にだけ点灯するハードウェアオーディオメーターと異なり、
「
Final
Cut
Pro
」のオーディオメーターの場合は、
「ビューア」、
「タイムライン」または「キャ
ンバス」内で、再生ヘッドがオーディオクリップ上にあると、再生中か一時停止状態であるか
にかかわらず、現在のレベルを表示してそれを保持します。
第
4
章
オーディオミキサの概要
77
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