アナログメーターとデジタルメーター
デジタルメーターのレベルを設定する方法は、アナログメーターでレベルを設定する方法とは異
なります。従来のアナログオーディオメーターとデジタルオーディオメーターを比較します:
デジタルメーターは、デジタルオーディオ信号のサンプリング値を表示します。メーター上の目
盛りは、デジタルフルスケールと呼ばれ、信号は
dBFS
で測定されます。この目盛り上では、
0
dBFS
が最大許容サンプリング値を表します。
0 dBFS
を超えるサンプルはすべてクリッピングさ
れ、オーディオ波形のオリジナルの形状を歪めます。一度信号がクリッピングされると、波形の
オリジナルの形状を復元することはできません。
一般的な
VU
メーター
デジタル
オーディオメーター
–30
–20
–10
–7
–4
–2
0
+2
+4
+7
–
∞
–66
dB
dBFS
–36
–24
–18
–12
–6
0
–48
第
3
章
オーディオメーターでレベルを評価する
59
IIII
重要:
「
Final
Cut
Pro
」では、内部のすべてのオーディオ処理に
32
ビット浮動小数点の分解能
で、
0 dBFS
を超えるデジタルオーディオレベルを処理できます。ただし、テープに書き出しま
たは出力する場合、オーディオのビット深度は通常は
16
ビットまたは
24
ビットに下がるので、
0 dBFS
が限界であることを認識しておく必要があります。
オリジナル
0 dBFS
0 dBFS
0 dBFS
ゲインが高すぎると
クリッピングします。
ゲインを低くしても
クリッピングしたままです。
アナログの
0 dB
とデジタルの
0 dBFS
オーディオが「
Final
Cut
Pro
」内ではデジタル専用であったとしても、そのオーディオはどこか
の時点でアナログになります。ほとんどのデジタルワークフローでは、最初にマイクを使って最
後にスピーカーで出力することになりますが、これらは両方アナログ機器です。
アナログメーター上では、
0 dB
はデバイスの最適な録音または出力レベルです。電圧が高すぎ
ると、歪みが生じます。電圧が低すぎると、デバイスから発生するノイズで音が消されてしま
うことがあります。デジタルメーター上では、
0 dBFS
はクリッピングしない最大許容オーディ
オレベルを意味します。
「
Final
Cut
Pro
」のメーターを見る際には、信号レベルがアナログメーターとどのように対応
しているのかを考える必要があります。特に、アナログメーターの
0 dB
に対応するデジタル
メーター上のポイントを選ぶ必要があります。このポイントを超える部分には、たまに発生す
るピークのためのヘッドルームがあるため、このポイントに平均の信号レベルを置く必要があ
ります。書き出しまたは出力中に
0 dBFS
を超えたオーディオではすぐにクリップが起こり音
が歪むので、デジタルオーディオではヘッドルームは特に重要です。
平均オーディオレベルとして選択したレベルは、ミックスの潜在的なダイナミックレンジに影
響を与えます。許容される平均信号が低いほど、平均音量と最大音量の差が大きくなり、より
大きなダイナミックレンジが提供されます。ただし、平均レベルを選択して、最も小さい音と
ノイズレベルを明確に区別できるようにする必要もあります。