周波数応答とダイナミックレンジ
スピーカーの品質は、その製品の目的や価格に応じて多岐に渡ります。たとえば、ポータブルス
テレオやテレビに内蔵されているスピーカーは、ミキシングエンジニアによってマスター化され
たオーディオを再生するために設計されています。オーディオ
CD
、ラジオ、テレビ、および映
画の音声といったマスター化されたオーディオは、圧縮されたダイナミックレンジを持ちます
(つまり、レベルがかなり一定で音が大きい)
。
マスターオーディオ用に設計されたスピーカーとアンプでは、多くのシステムで採用されている
低音ブースト機能のように、特定の周波数を故意に強調することがよくあります。この機能に
よってオーディオ
CD
などは音質が向上したように聞こえますが、オーディオ信号の印象を正し
く伝えないので本格的なサウンドのミキシングには不向きです。たとえば、スピーカーが
2 kHz
周辺の周波数を過剰に強調したとしたら、聞き手はミキシング時に
2 kHz
周辺のオーディオの強
さを下げてバランスを取ります。しかし、このミックスを定周波数応答を持つ別のスピーカー
セットで再生すると、
2 kHz
周辺の周波数はこもって聞こえてしまいます。