適切なビデオ形式を選ぶ
キーイングに理想的なビデオクリップは、圧縮していない、または圧縮が最小限のビデオ形式の
映像から取り込まれたクリップです。たとえば、圧縮のないビデオ取り込みインターフェイスで
デジタル化した
Betacam SP
や
Digital Betacam
のビデオ、または追加の圧縮を行わずにデジタ
ルで取り込まれた
DVCPRO50
ビデオがあります。圧縮を行うと、クリップの色情報は消失しま
す。また、キーイングするイメージの境界エッジなど、コントラストの境目のエッジ周辺に余分
な成分が追加されることがあります。圧縮されたビデオを使ってキーイングエフェクトを作成す
ると、多くの場合、髪の毛、薄い布地、影、煙を含め、キーを適用したイメージのエッジ周辺の
詳細は失われます。
第
20
章
キーイング、マット、およびマスク
425
IIIIIIII
取り込み中に圧縮を適用する必要がある場合でも、圧縮比率が
2:1
のクリップであれば有効な
キーを取り出すことができますが、理想的なソースビデオは圧縮をしていないものです。録画時
に
5:1
の比率で圧縮した
DV
ビデオの場合、 キーは理想的なソースのものよりも劣ります。これ
は、通常の再生では目に見えない圧縮成分が、キーイングを開始すると前面のサブジェクトの
エッジ周辺に現れてくるからです。しかし、
DV
ビデオでキーイングできないということではあ
りません。
高品質の
DV
カメラを使って適切な照明を行えば、
DV
クリップを使用して適切なキーを取り出
すことができますが、キーイングしたサブジェクトのエッジ周辺に、圧縮していないビデオや圧
縮が最小限のビデオで得られるような詳細さを期待することはできません。たとえば、圧縮して
いないビデオにキーイングすると煙、影、髪の毛などを残すことができますが、同等の
DV
ビデ
オではおそらく残らないでしょう。しかしながら、前面のサブジェクトとなる人物が髪を後ろに
なでつけてこざっぱりしたスーツを着ており、心配するべき透明領域がなければ、完全に満足の
いくキーを取り出すことができます。