Final Cut Pro 6 - 例:静止画にカメラの動きを追加する

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例:静止画にカメラの動きを追加する

ドキュメンタリーで、カメラが静止画全体を優雅にパンまたはティルトしたり、ときにはゆっく

りとズームイン/ズームアウトしたりする様子を見たことがあるでしょう。この種の効果は、従

来からモーション・コントロール・カメラで行われています。このカメラは、固定カメラと可動

式のプログラム可能な写真台からなる装置です。写真台は、カメラのそばを複数の方向にゆっく

りと移動させたり、ピボット点の周囲を回転させたりするようにプログラムすることができま

す。このようなカメラの動きは、本来なら静的イメージを活気付け、記録用の写真や書類を利用

する必要のあるムービーを一層強化して、意味深い視覚的な物語仕立てに作り上げます。

Final

Cut

Pro

」では、高解像度の静止画のモーションパラメータをアニメーション化すること

によって、同じ効果を出すことができます。

重要:

許容範囲にある品質で動きのあるグラフィックスを作成するには、静止画の縦/横の寸法

は、この静止画を含むシーケンスのフレームサイズよりも大きくする必要があります。特定の効

果を出すために、イメージの「縮小/拡大」パラメータを

100

パーセントを超えて設定する必要

があるのであれば、静止画を十分に高い解像度で作成していないということになります。

Final

Cut

Pro

」における静止画によるエフェクトのスローズームおよびパンの作成方法につい

ては、以下のステップに従ってください。

参考:キーフレームの使用方法の詳細に関しては、

287

ページの第

15

章「

キーフレーム設定さ

れたエフェクトのパラメータを調整する

」を参照してください。

ここに新しい継続時間を入力します。

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380

Part II

エフェクト

手順

1

静止画を準備して「

Final

Cut

Pro

」に読み込みます

イメージを読み込む前に把握しておくべき重要なポイントが

2

つあります:

Â

フレームサイズ: エッジを表示しないで静止画をフレーム内で動かせるようにするには、静止

画の大きさを、シーケンスのフレームサイズの寸法よりもかなり大きくする必要があります。

たとえば、

DV NTSC

4:3

アスペクト比)のシーケンスはフレームサイズが

720

×

480

ピク

セルなので、

DV NTSC

4:3

)のシーケンスでこのエフェクトのために使用する静止画はどれ

も、

720

×

480

より大きくする必要があります。パンを長くするほど、そして詳細に表示する

ほど、静止画の大きさを大きくする必要があります。

「ブラウザ」の「フレームサイズ」列を

見て、シーケンスのフレームのサイズおよび読み込んだ静止画のサイズをチェックします。経

験則からは、静止画の縦/横の寸法を

2

倍にします。整数倍にすると、「キャンバス」内でイ

メージに正確で予想可能な調整を簡単に行うことができます。

シーケンスの最終的な保存先が

SD

ビデオである場合、高解像度のスキャンしたイメージ、デ

ジタル写真、および

HD

ビデオイメージはどれも良好に機能します。

SD

ビデオからの静止画

はお勧めしません。静止画を拡大してサイズを大きくする必要があるからです。これによっ

て、イメージの品質がかなり低下し、ピクチャ内にアーチファクトが生成されます。

HD

シーケンスでカメラのモーションエフェクトのグラフィックスを作成している場合、イ

メージの大きさは非常に大きくなります。たとえば、

1920

×

1080

2

倍の大きさにすると、

3840

×

2160

のグラフィックスになります。お使いのプロセッサ速度によっては、この高解

像度のエフェクトのためにリアルタイムエフェクト再生が制限される可能性があります。

Â

平坦化したレイヤー: 使用する静止画がレイヤー化された

Photoshop

ファイルである場合は、

複数のトラックにシーケンスとして表示されることになるので、その静止画をレイヤー化され

Photoshop

ファイルとして読み込まないでください。その代わり、

Final

Cut

Pro

」に読み

込む前に、グラフィックアプリケーションでそのイメージを平坦化し、保存します。オリジナ

ルのレイヤー化されたグラフィックファイルを変更する場合に備えて、平坦化したイメージは

コピーとして保存するようにします。

参考:メディアファイル(ビデオ、オーディオ、および静止画)をすべて一個所に配置するよう

に、読み込んだイメージ静止画はどれも取り込み先ディスクに保存します。こうすると、とても

簡単に、すべてのプロジェクトメディアを一度に配置、移動、コピーすることができます。

4000 x 3000

キャンバス

720 x 480

静止画

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18

フリーズフレームと静止画を使って作業する

381

IIIIIIII

手順

2

静止画をシーケンスに組み込みます

静止画は、

「タイムライン」にクリップとして表示されます。

手順

3

「ビューア」の「モーション」タブでイメージクリップを開きます

1

「タイムライン」でクリップをダブルクリックして、「ビューア」に開きます。

2

「ビューア」の「モーション」タブをクリックし、

「基本モーション」開閉用三角ボタンをクリッ

クして、「縮小/拡大」、

「回転」

、「中心」などのパラメータを表示します。

3

「ビューア」の「モーション」タブで、「縮小/拡大」フィールドに

100

を入力します。

手順

4

「ビューア」および「キャンバス」の設定を準備します

イメージに関して、再生中にフレーム内で表示される様子を確認するには、いくつかの調整を行

う必要があります。

(そうしないと、たとえば、表示するつもりのないフレームの背景を確認す

ることになるかもしれません。)

イメージを視覚的に配置する場合は、ワイヤフレーム表示に切り

替える必要もあります。

1

「キャンバス」の「表示」ポップアップメニューから「イメージ+ワイヤフレーム」を選びます。

「縮小/拡大」パラメータを

100

に設定します。

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382

Part II

エフェクト

2

ズームのポップアップメニューから「すべてを合わせる」を選びます。

参考:最終的なムービーをテレビモニタに表示する場合は、テレビモニタで実際に表示される内

容を確認できるように

TV

セーフゾーンのインジケータも有効にすることをお勧めします。(

「表

示」ポップアップメニューから「

TV

セーフゾーンを表示」を選択します。)

手順

5

パンの開始ポイントおよび終了ポイントにイメージを配置し、キーフレーム設定します

「中心」パラメータは、画面上でイメージを表示する(または表示しない)位置を指定します。

キーフレームを使って開始と終了の「中心」位置を設定することによって、イメージの動作を作

成します。

Final

Cut

Pro

」は、移動パスを生成するために、この

2

つのポイントの間のイメー

ジの位置を補間します。

1

イメージのパンを開始する時点まで、再生ヘッドを移動します。

2

「キャンバス」で、パンの開始位置までイメージの位置を移動します。

開始位置

「モーションキーフレームを追加」

ボタン

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18

フリーズフレームと静止画を使って作業する

383

IIIIIIII

3

「キャンバス」で、

Control

キーを押したまま「モーションキーフレームを追加」ボタンをクリッ

クし、ショートカットメニューから「中心」を選択します。

「モーション」タブの「中心」パラメータの横に、キーフレームが表示されます。

4

パンを終了する時点まで、再生ヘッドを移動します。

「中心」パラメータの

キーフレーム

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384

Part II

エフェクト

5

「キャンバス」で、終了位置までイメージを移動します。

このとき、キーフレームを追加する必要はありません。いったんパラメータに単一のキーフレー

ムを追加すると、新しい位置にクリップを移動するたびに、新規のキーフレームが自動的に追加

されるからです。

「キャンバス」で、開始キーフレームと終了キーフレームとの間の補間されたモーションパスを

示すラインが表示されます。

6

このエフェクトを確認するには、

「表示」ポップアップメニューから「イメージ」を選択して「キャ

ンバス」のワイヤフレームを削除し、クリップの先頭に再生ヘッドを移動してシーケンスを再生

します。

大まかに最終的なモーションエフェクトを確認するだけですが、レンダリングしないで確認でき

ます。エフェクトを高解像度で確認するには、レンダリングしてシーケンスを再生します。

ヒント:レンダリングしたイメージの濃淡にむらがある場合は、「タイムライン」の「

RT

」ポッ

プアップメニューから「高」を選択して、クリップを再度レンダリングします。

さらに現実的なカメラ動作を作成するために、モーションパスの開始点および終了点でモーショ

ンをスムーズにすることもできます。その結果、カメラはゆっくりと開始して、最高速度に達し、

2

番目のキーフレームに到達するにつれて減速します。

終了キーフレーム

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18

フリーズフレームと静止画を使って作業する

385

IIIIIIII

モーションパスの開始ポイントおよび終了ポイントで速度をスムーズにするには:

1

「マーク」>「前の」>「キーフレーム」と選択して、再生ヘッドがクリップの開始キーフレー

ム上に配置されるようにします。(

Option

K

キーを押すこともできます。)

開始キーフレームを行き過ぎた場合は、

「マーク」>「次の」>「キーフレーム」と選択して戻

ることができます(または、

Shift

K

キーを押します)

2

「キャンバス」で、

Control

キーを押したまま開始キーフレームをクリックし、ショートカットメ

ニューから「イーズイン/イーズアウト」を選択します。

ここで、キーフレームにベロシティハンドルが付きます。

3

モーションパスの開始点で加速を調整するには、開始キーフレームから外側に向かって、速度ハ

ンドルをドラッグします。

これによって、クリップはゆっくりと動き始め、次いで最高速度まで加速します。

4

「マーク」>「次の」>「キーフレーム」と選択して(または、

Shift

K

キーを押して)、モーショ

ンパスの終了キーフレームまで移動します。

5

「キャンバス」で、

Control

キーを押したまま終了キーフレームをクリックし、ショートカットメ

ニューから「イーズイン/イーズアウト」を選択します。

6

キーフレームに向かって、終了キーフレームの速度ハンドルをドラッグします。

これによって、モーションパスの終了キーフレームに近づくにつれて、クリップが減速します。

ベロシティハンドルおよびスムーズなモーションカーブ作成の詳細については、

317

ページの

モーションパスに沿ったモーションの速度を制御する

」を参照してください。

終了キーフレームに
向かって、速度ハンドルを

ドラッグします。

終了キーフレーム

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387

19