不適正な放送レベルを防止する
放送局は、放送で使用できるルミナンスとクロマの最大値が制限されています。ビデオがこの制
限を超えると、色が混ざってプログラムの白と黒が色あせたり、ピクチャ信号がオーディオ信号
と混ざって、音声に歪みが生じたりすることがあります。これらすべての場合で、標準の信号レ
ベルを超えると許容できない送信品質につながることがあります。
このため、編集したシーケンスのクリップに色補正を実行するときは、ビデオのルミナンスとク
ロマのレベルが、適正放送と呼ばれるパラメータまたは放送用に許容できるパラメータ範囲内に
あることを確認する必要があります。シーケンスのクリップレベルを誤って上げ過ぎることはよ
くあることで、「
Final
Cut
Pro
」のスコープと「レンジチェック」オプションを使用して、設定
するルミナンスとクロミナンスのレベルが適正範囲内にあることを確認することが重要です。
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Part III
色補正とビデオ品質制御
プログラムが放送用として認められた場合、通常は、放送局による適正なピクチャ信号の基準を
定めたガイドライン一式が提供されます。公共放送協会では、放送用として認められるルミナン
スとクロミナンスのレベルを定義する際に最もよく利用されるガイドライン一式を用意してい
ます。このガイドラインはきわめて慎重に作成されているため、このガイドラインを遵守したプ
ログラムであれば、ほとんどの放送局でまず問題はないはずです。他にも独自のガイドラインを
公表している放送局もあります。
「ビューア」と「キャンバス」でルミナンス超過とクロマ超過のレベ
ルを表示する
「
Final
Cut
Pro
」のレンジチェックオプション(「表示」メニューの「レンジチェック」サブメ
ニューにある)では、
「ビューア」と「キャンバス」の放送の適正範囲外にあるクリップのイメー
ジ領域について、ひと目で問題が分かるように斜線のしまを表示させることができます。斜線の
しまは、ピクチャの不適正領域と放送適正限界に近い領域に重なって「行進する線」のように表
示されます。放送の適正範囲外にあるルミナンスまたはクロミナンスのレベルについて警告する
追加のアイコンも表示されます。