撮影中から始まる色補正
ビデオの全体的な画調を決定するプロセスは、製作中にシーンに照明を当て撮影しているときか
らすでに始まっているという点を忘れないでください。ポストプロダクションでクリップを最大
限に制御できるようにするには、最初から最終的な目標を念頭に置いた場面から開始する必要が
あります。ポストプロダクションでの色補正では、優れた照明の代わりにはなりません。
理想的な色補正プロセスは、当初の構想どおりに、プロデューサー、ディレクターおよびカメラ
マンの構想を拡張し強化するものとも考えることができます。カメラマンが意図した映像を確実
に再現できるように、色補正プロセスにカメラマン自身が直接かかわるのもよくあることです。
ディレクターやプロデューサーが最終的な作品の表現について考えを変えることもあります。そ
のような場合、色補正を使用して作品の全体的な画調を変えることもできます(たとえば、寒色
系の画調で撮影された映像を暖色系の画調にする)。このような調整はできますが、明確で適切
な露出で撮影を始めるのがやはり重要であることに変わりはありません。
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Part III
色補正とビデオ品質制御
ポストプロダクションで色を処理する
プログラムでの色の処理方法は、ソースビデオがフィルムまたはテープのショットのいずれから
変換されたかによって異なります。プロジェクトの色補正を行うには、いくつか方法があります。
どれを選ぶかは、プログラムの仕上げ方法とプロジェクトのポストプロダクションに費やせる予
算次第です。
テレシネの色補正
フィルムでプロジェクトを撮影してビデオで編集する場合は、最初にテレシネと呼ばれる装置を
使用して、編集の前にネガからイメージを取り出して目的のビデオテープ形式に変換する必要が
あります。この最初のテレシネ作業を実行するカラリストは、編集者が最適なピクチャで作業で
きるように、ビデオからの変換時にもある程度の色補正を実行することになります。