例:色補正フィルタを使用する
以下の例は、カラーバランスが不適切で露出不足のクリップを調整する場合に、「色補正」フィ
ルタをどう使用するかについて示しています。この例では、白のベッドカバーの上にいる白い猫
のクリップに対して、色補正を単純に使用した場合を示しています。撮影中のカメラの白バラン
スが不適切で、ショットも露出不足になっています。
「色補正」フィルタを使用すると、これら
の問題を両方とも解決できます。
1
作業するクリップで「タイムライン」の再生ヘッドを移動して、作業した変更のビデオへの出力
が確認できるようにしてください。
2
「タイムライン」でクリップを選択し、このクリップに「色補正」フィルタを適用します。
フィルタ適用の詳細については、
217
ページの第
12
章「
ビデオフィルタを使う
」を参照してくだ
さい。
3
クリップをダブルクリックするか、選択してから
Return
キーを押して、クリップを「ビューア」
で開きます。
4
「ビューア」の一番上にある「色補正」タブをクリックして、色補正のパレットコントロールに
アクセスします。
この例では、露出が
不足した白猫のクリップを
色補正する方法を
示します。
「色補正」タブをクリックすると、
そのパレットコントロールが
表示されます。
第
27
章
色補正
575
IIIIIIIIIIII
5
「ウインドウ」>「整頓」>「色補正」と選択します。
これにより、
「ビデオスコープ」タブが「ツールベンチ」ウインドウに開かれます。色の補正中
は、作業しながらビデオをより詳細に分析できるように、
「ビデオスコープ」タブを開いておく
と便利です。
6
「ビデオスコープ」タブの「レイアウト」ポップアップメニューから「すべて」を選び、すべて
のスコープが使用できるようにします。
これで、イメージの調整を開始する準備が整いました。
7
「自動コントラスト」ボタンをクリックして、クリップの白から黒までの範囲を最大にします。
「白」と「黒」のスライダが自動的に調整されて、
「ヒストグラム」に表示されるルミナンスレベ
ルに基づいた最適な数値配分が得られます。これで先に進む準備が整います。
8
イメージは露出不足なので、「中間色」スライダを調整して影の細部が目立つようにします。
「すべて」を選ぶと、
すべてのビデオスコープ
が使用可能となります。
自動コントラストボタン
576
Part III
色補正とビデオ品質制御
「中間色」スライダを右に移動すると、
「ヒストグラム」に表示されるように、中間色調の配分が
さらに右に移動します。白を再調整する代わりに、「中間色」スライダを使用してこのショット
を明るくすると、イメージで見える細部の量が最大になるよう維持できます。これをしないで白
を増やすと、クリップの明るい部分が消えてしまうこともあります。
次は色に対処します。この例では、ビデオカメラの白のバランスが不適切だったので、白い猫が
緑がかっています。
9
緑がかっているのを補正するには、自動バランス・スポイトツールをクリックします。
参考:このボタンが選択されていると、
「キャンバス」に移動したときにポインタがスポイトツー
ルに変わります。
10
ピクチャの純白であるべき領域でスポイトツールをクリックします。
「色補正」フィルタで「バランス」コントロールが自動的に調整され、ピクチャのその領域にあ
る色調のずれがすべて補正されます。この例では、白のベッドカバーのハイライトでクリックし
ます。
「ヒストグラム」に中間色レベルの
変更が反映されます。
「波形モニタ」は、中間色の
変化を示しています。
「バランス」コントロールの
近くでスポイトツールを
クリックします。
ベッドカバーなど、
イメージの白の領域で
クリックします。
第
27
章
色補正
577
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光源や光沢のあるハイライトなど、露出過多の領域を選択しないように注意してください。露出
過多の領域を選択すると、期待する結果は得られません。代わりに、十分に光の当たっている
シャツの袖や白壁など、白いピクチャのなかでも適切に露出されている領域を選択します。思い
どおりの結果を得るには、異なるスポットをいくつか試してみる必要があるかもしれません。最
初の選択結果に満足できないときは、すぐに操作を取り消してやり直します。
ピクチャは青みがかっていたので、白いベッドカバーの部分でスポイトツールをクリックする
と、カラーバランスインジケータが赤と黄色の混合色に移動し、イメージの白を純白に変えます。
修正内容は「キャンバス」に表示されます。
カラーバランスインジ
ケータが移動して白が
補正されます。
色補正後
色補正前
578
Part III
色補正とビデオ品質制御
参考:自動バランス・スポイトツールの使用中は、選択している白の領域を照らすライトの色温
度は、実行する補正のヒューに反映されることを認識することが重要です。たとえば、ピクチャ
が日光とタングステン光源を組み合わせて照らされている場合、ピクチャの日光で照らされてい
る部分を選択すると、赤を追加してイメージの全体的な色温度を補正することになり、ピクチャ
のタングステン光源で照らされている部分を選択すると、青を加えて補正することになります。
そのような場合は、最も近いと思える色の部分を選択してください。
一般に、自動バランス・スポイトツールを使用すると、すぐにおおよその成果が得られます。た
だし、本当に必要とする画調を完成するには、手作業で「バランス」コントロールにさらに調整
を加える必要があります。
11
「バランス」カラーホイールの任意の場所をクリックして、ドラッグ操作でカラーバランスイン
ジケータをこれまでの位置から相対的に移動させます。
気に入らなかった青を補正するため、すでに自動バランス・スポイトツールを使用して赤を追加
しているので、ここからがこのシーンで必要とされる特別なエフェクトを得るための出発点にな
ります。たとえば、カラーバランスインジケータをマゼンタ方向にもっとドラッグし、カラーバ
ランスの補正結果を保持しつつ、イメージを少し暖かく、心地よい感じに変えることができます。
この時点では、このイメージをそのほかのショットとマッチさせる必要はないので、どのような
画調でも選択できます。温かくする、涼しげにする、あるいはそのほかの現実にはないようなカ
ラーバランスにするかどうかは、この時点では創造性の問題です。ただし、現実的な雰囲気にし
たい場合は、抑え気味にして微妙な変更を加えるだけにすることが重要です。
必要とするカラーバランスが得られたら、次はショットの画調を完成させるためクリップのサ
チュレーションを調整します。
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「サチュレーション」スライダをドラッグして、サチュレーションを増減します。
これは注意して実行してください。初心者がえてして犯しやすい誤りの
1
つに、見栄えを良くし
ようと、ついショットにあまりに鮮やかな色付けをするということがあります。サチュレーショ
ンを高くした方が良いことも時にはありますが、実際には鮮やかさを抑制した方が場面の見栄え
がよくなるケースの方が多いものです。人工的に鮮やかな色を設定したビデオカメラを使用して
いる場合は、なおさら注意が必要です。この場合、あまり「強烈に」見えないようにするため、
イメージのサチュレーションを幾分下げた方が適切かもしれません。
参考:例によって、サチュレーションの調整は、必ず適切に調整された放送用モニタで見ながら
行います。コンピュータ画面でビデオを見ながら調整すると、クリップの色のサチュレーション
を上げ過ぎてしまうのはよくあることです。サチュレーションを高く設定し過ぎて意図せず不適
切なクロミナンスレベルにしてしまわないように、「クロマ超過」オプション(
「表示」メニュー
の「レンジチェック」サブメニューにある)を有効に設定しておくのも賢明です。
第
27
章
色補正
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「色補正(
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