デバイスコントロールプロトコルとは
デバイスコントロールプロトコルは、
2
つの装置の相互通信方法についての規則と構文を定義
したものです。
2
つの接続された装置は、通信速度(モデムと同じように、しばしばビット/
秒またはボーで測定されます)、各バイナリワードの長さ、および再生、巻き戻し、早送りな
どの各コマンドのコーディング方法について調整し、合意しなければなりません。
2
つの装置
間の 通 信 が リモ ー ト コ ン トロ ー ル プ ロト コ ル 経 由 で正 常 に 確 立さ れ た ら、装置 と
「
Final
Cut
Pro
」の間でナビゲーションコマンドやタイムコードなどを転送することができ
ます。
352
Part IV
設定および環境設定
Â
タイムソース: 一部のテープ形式では、複数の種類のタイムコードトラックを使用できます。
「
Final
Cut
Pro
」にどのトラックからタイムコードを読み取らせるかを選択でき、
LTC
と
VITC
の場合は、何が使用できるかに応じて「
Final
Cut
Pro
」にどちらかを読み取らせることができ
ます:
Â
LTC:
LTC
はオーディオなので、テープを早送りしているときでもタイムコードリーダで解
釈できますが、テープが一時停止しているときや、テープが非常に遅い速度で動いていると
きに読み取ることはできません。
Â
VITC:
VITC
は非常に遅い速度でも読み取ることができますが、早送りや巻き戻しをすると
途切れてしまいます。
Â
LTC+VITC: この設定は、
テープに
VITC
と
LTC
の両方がある場合に最適です。この設定を選
ぶと、
「
Final
Cut
Pro
」は、テープがどんな速度で再生されていても正確なタイムコードを
読み取ることができるよう、両方のタイムコードを確認します(通常の速度および高速での
再生には
LTC
が使われ、スローモーションおよび一時停止には
VITC
が使われます)。
Â
Timer: 時計ベースのカウンターです。このオプションは、一部の
VHS
デッキなど、デバイ
スコントロールに対応しているが、タイムコードには対応していないデッキに便利です。
Â
DV Time:
DV
機器に取り込みまたは出力するときに選択します。
Â
ポート: デバイスコントロールケーブルが接続されているポートを選びます。
DV
タイムコー
ドを使用している場合、
FireWire
が自動的に使用されるため、このオプションは使用できませ
ん。
DV
デバイスコントロールではなくシリアルデバイスコントロールを使用している場合は、
シリアルデバイスコントロールを接続したポートを選択します。これは、内蔵モデムポート
か、
USB
ポートに接続された
USB
−シリアルアダプタです。
Â
フレームレート: 取り込むビデオのタイムコードフレームレートを選択します(
NTSC
の場合
は
29.97 fps
、
PAL
の場合は
25 fps
、
DVCPRO HD 720p
の場合は
59.94 fps
など)。
Â
デフォルトタイムコード: このオプションは、装置が接続されていないとき、またはテープの
再生が開始する前の、
「切り出しと取り込み」ウインドウのフィールドのタイムコードモード
(ドロップフレームまたはノンドロップフレーム)に影響します。いったんテープが再生され
ると、
「
Final
Cut
Pro
」は、このポップアップメニューではなく、テープからタイムコードモー
ドを判別します。
ここで選択したタイムコードモードは、
VTR
でテープを使わずにクリップを切り出すときに便
利です。デッキの再生ボタンが押されるまでは、
「
Final
Cut
Pro
」はテープ上のタイムコード
モードを識別できないので、デフォルトのタイムコードが使用されます。
装置が接続されていない場合、「切り出しと取り込み」ウインドウの「イン点」、
「アウト点」、
および「継続時間」フィールドを
Control
キーを押したままクリックし、デフォルトのタイム
コードモードを選択することにより、これらのフィールドのタイムコードモードを変更するこ
とができます。
第
26
章
デバイスコントロール設定およびプリセット
353
IIIIV
V
V
V
Â
デッキの検索機能を使う: デッキに内蔵された検索メカニズムを使用して特定のタイムコー
ド値にテープを送るには、このオプションを選択します(使用可能な場合)。シリアルデバイ
スコントロールを備えたデッキには、このオプションが付属する場合があります。ビデオを取
り込むときに、再生ヘッドを指定されたタイムコード値まで移動することが難しいデッキを
使っている場合は、このオプションを選択しないでください。詳細については、ビデオ機器の
マニュアルを参照してください。このオプションは
DV
機器では使用できません。
Â
取り込みオフセット: タイムコードとビデオは「
Final
Cut
Pro
」によりしばしば
2
つの別々の
チャンネル(デバイスコントロール接続とビデオ入力)を経由して取り込まれるので、メディ
アファイルにビデオフレームが取り込まれる時間とタイムコード値が取り込まれる時間との
間に、小さいものの、一定のオフセットがあることがあります。ビデオからタイムコードのフ
レームオフセットを測定し、その値をこのフィールドに入力して、タイムコードを調整する必
要があります。詳細については、
357
ページの「
タイムコードオフセットを測定および入力す
る
」を参照してください。
参考:タイムコードデータとビデオデータは両方とも同じ
FireWire
ケーブルを経由して転送
されるため、
DV
ビデオを
FireWire
経由で取り込むときはこれは問題になりません。
Â
のりしろサイズ: この設定は、クリップをバッチ取り込みするときにのみ影響します。この
フィールドの値は、バッチ取り込みした各クリップのヘッドとテールに追加の素材、すなわち
のりしろを自動的に取り込むよう、
「
Final
Cut
Pro
」に指示します。バッチ取り込みの詳細に
ついては、
Volume
1
の第
17
章「素材をディスクに取り込む」を参照してください。
Â
再生オフセット: ビデオインターフェイスの中にはビデオ信号を処理するのに時間がかかる
ものもあるため、このオプションを使うと、
「
Final
Cut
Pro
」のデバイスコントロール(
「再生
ヘッドの位置」フィールドの数値)とビデオインターフェイス出力の間のレイテンシーを補正
することができます。これは、シリアル
RS-422
デバイスコントロールや
PCI
ビデオカードな
ど、デバイスコントロールとビデオ出力に別々の接続を使用する場合のみの問題です。
テープへの編集で、再生を始めてからデッキの記録が始まるまでの遅延時間を補正する数値を
入力します。これは通常
0
に設定します。記録が始まる前に再生を開始するには正の値を入力
し、記録が始まってから再生を開始するには負の値を入力します。
参考:テープに編集するときに、最初のフレームが数フレームにわたって繰り返されるとき
は、繰り返されるフレームの数をこのフィールドに入力して、繰り返しが生じないようにし
ます。
354
Part IV
設定および環境設定
Â
プリロールとポストロール:
VTR
やオーディオプレーヤーは機械装置であるため、停止または
一時停止した位置から開始後、装置のモーターが安定し、安定した速度に達するには数秒かか
ります。プリロール時間には、ビデオカメラまたはデッキが、取り込みまたは出力のどれだけ
前からソーステープの再生を始めるかを設定します。ほとんどの場合、デフォルトの
3
秒で十
分です。プリロールとポストロールの値は、
「切り出しと取り込み」ウインドウの「現在のフ
レームの周辺を再生」ボタンをクリックしたとき、およびテープに編集する前に「テープに編
集」ウインドウでインサート編集をプレビューするときに使用されます。
Â
録画と“ビデオにプリント”を自動実行: このチェックボックスをチェックすると、「ビデオ
にプリント」コマンドを使用するときに、ビデオカメラまたはデッキが「
Final
Cut
Pro
」に
よって自動的に録画モードにされます。(「ビデオにプリント」ダイアログで「
OK
」をクリッ
クした後)録画モードに入ってビデオに出力する前に、
「
Final
Cut
Pro
」が待つ秒数を指定し
ます。このオプションを選択しない場合、テープへの出力を開始すると、テープを挿入して
VTR
の録画を手動で開始するように求めるプロンプトが表示されます。このチェックボックス
は、
「ビデオにプリント」ダイアログでも使用できます。